Saito バイオリン工房 公式サイト

工房紹介

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基本情報

名称 SAITO バイオリン工房
主宰 齋藤 久吉
業務内容 バイオリン、ヴィオラ、チェロの製作
住所 〒960-8253
福島県福島市泉字長滝前18-2
TEL 024-558-2487

展示会・製作の歩み

科学技術館時代
「5年間在籍」

家入久記氏「ヴイオラ製作者」に推薦して頂き製作者協会準会員となる。
*バイオリン『1999年製作、出品、展示』、*ヴィオラ「2000年製作、出品、展示」、*チェロ「1990年代製作、出品、展示、サイエンスホールで演奏」

過渡期
「協会から研究会へ」

*新宿、代々木上原のホールでの展示会「バイオリン、ヴィオラを出品、展示」

池袋、自由学園
明日館時代「2021年、19年目」

19年間バイオリン、ヴィオラ、チェロを出品、展示、演奏して頂きました。
私にとっての池袋「2年間、東池袋ホール」の19年間は多くの先輩、友人の制作者、演奏者の方々から学ぶことの多かった年月でした。

演奏して頂いてきた方々
バイオリンを西田博「元、東フイル、コンサートマスター」、川畠成道、星野美葉、三澤裕美子、他のバイオリンニスト、チェロを三森未來子、毛利巨塵、植草ひろみ、他のチェリストの方々に演奏して頂いてきました。彼、彼女等の表現の力によって楽器のもっている能力を余すところなく引き出して頂き感謝なことでした。

弦楽器ストラッド、
「横浜、鶴見」

弦楽器ストラッドサロンでのダヌーツ・マーニヤ試奏会に10年間参加。
ダヌーツ・マーニアからバイオリンについて音量、弦のバランス、音色の明暗、音色のつくれる楽器、音色のつくれない楽器などの表現について、またネックの状態、駒、弦高の調整に至るまで詳細にチエック、評価して頂き学ぶことの多かった年月でした。
*ダヌーツ・マーニアのプロフイ、ルーマニア国立管弦楽団コンサートマスター「芸術監督」

鎌倉芸術館
「鎌倉市」

日本バイオリン製作研究会のメンバーの主催する展示会に3年間バイオリン、ヴィオラ、チェロを出品展示、演奏バイオリンをバイオリニスト星野美葉さん、他に、ヴィオラ「匿名」、チェロをチェリスト植草ひろみさん「元新日フィル」に演奏して頂きました。

アメリカバイオリン協会
「8年間在籍」

泊川一之氏の勧めで会員となる。「また、教示して頂いています。」
泊川一之氏のプロフイル、アメリカバイオリン協会員「VSA」,アメリカ音響学会員「CAS」

その他の展示会

*国立市公会堂 バイオリン、ヴィオラを展示する。
*国分寺市、泉ホール、バイオリンを出品、展示演奏して頂いています。
*新宿区内のホール、バイオリンを出品、展示、演奏して頂いています。
*毛利巨塵氏、東京芸術大学大学院卒、ヨロッパ諸国、国内で演奏活動を続ける。また、国内のオケストラを指導するなど幅広く音楽活動をつづけています。
*ラチイザール・コストフ、―アメリカで活躍する若手のチェリスト。ヨーヨーマと「カーネギホール」などで共演するなど新鋭のチエリストです。
*日本弦楽指導者協会―「19年」。ヴィオラで演奏活動。バイオリン教室開設、「バイオリン、ヴィオラ、チェロ」

バイオリン・ヴィオラ・チェロ
の思い出

日本が世界に誇るべきものの一つが水ではないかと思います。昔、その誇るべき水が故郷の小川にはあったのです。その透明度の美しさ、そして、つややかに絹織りなす流れのハーモニーがバイオリンの純音の美に結びついたのかも知れません。
晩秋、雑木山にレンガ色の枯れ葉が敷き詰められると、枯れ葉は暖かくぬくもり始める。そして赤紫色に老いた野バラの黄昏の美しさなど、秋の美しい色彩と枯葉の暖かいぬくもりのイメージが私のヴィオラの音色になりました。チェロは心象風景を深く広く表現する楽器。そしてコントラバスと共に全体を支える楽器です。

工房について

  • 楽器の大きさについて、製作過程で、削り過ぎてしまったとか、また他のことで多少原寸法との違いはでてくると思います。厳密にはいかないと思います。
  • ニスについて、アルコールニスとオイルニスがあります。アルコールニスを例にすると色々な樹脂を溶剤で溶かし濾過して楽器に塗る方法です。
  • 型、参考までに記載しましたが、楽器でも作らない限りは必要なしです。
  • 板はぎについて、二枚の板を削り、接着する方法で難しい制作技術の一つです。
  • 弦高について、製作作業「ネックの取り付け」で1~2mm上下することはあります。また湿気、乾燥で弦高に変化が生じてきます。極端に指板が下がった時には修理が必要となります。
  • 糸巻きについて、ベグの作りの良し悪しにもよると思いますが、湿気、乾燥できつく成ったり、緩く成ったりしますので、無理せずに調整は専門家に。

バイオリン作りあれこれ

昔からヨ-ロッパでは各地方の山に樹勢するスプルース材「松、ヨーロッパ・トウヒともいう」とメープル材「カエデ」でバイオリンを作ってきました。バイオリンの表板、そして胴体の中に使われるブロック材、力木「バスバー」、補強材「ライニング」、魂柱などにはスプルース材を、裏板、横板、ネック材、駒などにはカエデ材が使われてきました。バイオリンは見た目にシンプルにできているようですが、実は細かい部品まで混ぜると材料と楽器に付いている附属物を合わせると55のパーツから出来ているのです。

昔、長野の工場から持ち帰ったのは一本のバイオリンと道具箱ひとつでした。家にはバイオリンを作る道具らしきものは何一つなく、バイオリンの横板を曲げる専門の道具さえもありませんでしたから、横板を曲げるのに太いハンダゴテを買ってきて曲げたり、鉄パイプを焼いて曲げたりと試行錯誤をしていた時期がありました。

木型

お菓子屋さんの木型や金物屋さんに金型があるように、物作りをするのにはまずは型を起こさないと始まりませんね。昔はもみの木でバイオリンの型を作った事もありましたし、木型屋で使う「ひめ小松」という松の木の板でつくたこともありました。この材料は柔らかく型には使いませんでした。或る時ある製作家から『型を作るには朴ノ木はくるいが無くていいよ』と言う話を聞き、それからバイオリンの型を朴ノ木で作るようになったのです。朴ノ木は柔らかく細工がしやすく、確かにくるいが少ない木だと思っています。

板はぎ

板はぎは楽器作りで最初にやらなければならない作業の一つですね。板はぎは簡単にいうと、二枚の板をそれぞれ削って板の平面、直角をだしニカワで接着することです。ニカワは昔から楽器の接着に使われてきた接着剤で、動物の骨や皮を精製して作りますが、お菓子を作るゼラエースなどもこのニカワが原料です。板はぎ「表板・裏板」は木工技術の中でも難しい作業の一つですが、このはぎが出来ないと楽器は作れなくなってしまいます。作り方を文章で説明することも可能でしょうが、板はぎだけは実地に体験しないと解らないと思います。昔、木工の達人にいわれた言葉がありました。『仕事は見て覚えろ』と、それから『切れない刃物でやったんではうまい仕事はできないよ』と。心に沁みた言葉でした。この師匠から刃物の研ぎ方、板はぎ、その他木工技術を教わりました。

楽器のニスの美しさ

工場から家に戻って間もないころのこと、知り合いの牧師の紹介で東京の楽器製作者の家に行くことになったのです。初めてお目にかかった楽器は製作者の作った真っ赤に塗られたヴィオラでした。ヴィオラの裏板が澄んだ川底にゆらゆらと揺らいでいる水草のように裏板の虎目の模様が光の中に揺らいたのです。感動的な楽器でした。

弓はステック「stick」とも言います。弓はこれまでバイオリンとチェロの弓を数本しか作っていませんが、昨年「2020年」神戸の友人「病床にある」から頂いていたスネックウッドという硬い材料を使ってチェロの弓を作りました。今その自作の弓でチェロを弾いていますが、友人に感謝です。弓を作ってみて感じていることは、弓って何て不思議な木の棒なんだろうと思いました。楽器の持っている音色を引き出してくれるのは演奏者の表現能力であり、弓「bow」ですから。できればバイオリンの弓をもう一本作りたいものです。

カンナ

楽器のカンナには沢山の種類がありますが、カンナには西洋カンナと日本のカンナがあります。西洋カンナは押して削りますし、日本カンナは引いて削るという違いがあります。バイオリンの板を削るには主に豆カンナ「通称バイオリンカンナと言われるもの」を使って削ることが多いと思います。私は西洋カンナも使っていますが、板はぎをするような時には日本の長台鉋という鉋を使って作業をやっています。長台鉋は普通の鉋の台の長い鉋ですが、日本のカンナは鉋の刃と台を作らなければなりませんから大変です。

<刃物の研ぎと日本鉋について>

*刃物の研ぎについて

刃物研ぎは理屈抜きの修行の世界です。
刃物「鉋、ノミ等」は刃物の裏面が定規「平面」となりますから、手首の角度を変えないように、肩の力を抜いて押し研ぎ、引き研ぎを繰り返して研ぎます。丸刃にならないように注意。砥石には荒砥、中砥「青砥、他」、仕上砥「巣板、他」の種類がありますが、私は天然砥石を使って研ぎをやっています。主に中砥「青砥」を主に使っています。砥石は減ってきますから、私はガラス板に耐水ペ-パ-を敷いて擦り合わせて砥石の面を平らにして研ぎをやっています。「下端定規を対角線状にあてて確認」。私は刃物研ぎは呼吸法だと思っています。まさに修行の世界ですね。因みに、楽器作りには彫刻刀を使うこと多いと思います。彫刻刀には丸刃、平刃と色々な種類の彫刻刀がありますが、私はどのような種類の彫刻刀でも真平な砥石で研ぐことにしています。

*日本鉋について

私は板はぎをする時は長台鉋「平鉋」使って作業をしています。「長台鉋は普通の鉋の台の長い鉋」。前にも申し上げましたが、日本の鉋は刃と台を作らなければなりません。鉋の刃は鍛冶屋さんが地金と鋼を接着します。鉋の刃裏が基準面になりますから出来合いのままではだめで刃裏の平面を出す為に「裏押し」という作業「金盤に金剛粉をまいて研ぐ」をしなければなりません。又、刃先の鋼が減ってくれば「裏だし」という作業「地金を金槌で叩いて出す」をして刃先の鋼を出す作業をしなければなりません。当然刃先が減ってくれば切れなくなりますから。これは日本鉋を使う人が欠かせない作業の一つですね。金槌で強く叩くと刃を割ってしまう恐れがありますので注意が必要です。鉋の台は3点の平面を「中すき」だし、直角をだします。直角と平面がきちっとでていないと板はぎがうまくいきません。台の作り方も職種によっても違うようです。